どこにもいない左翼

なんとかのメガネさんが、なんか言っていたから書きたくなったわけではなくて、ここ数回分の池田信夫氏のブログを読んで感じたことがあったので書く。


すごいのである。左翼攻撃が。
少し前に小倉弁護士がコメントで、池田先生あまり飛ばしすぎると相手にされなくなりますよ、と優しく忠告していたように記憶しているのだが、そのアドバイス本気で受け止めないといけない状況になってやしないか。
なんて人の心配などしても仕方ないが、最近は何と従軍慰安婦問題だけでなく、大江健三郎にまで言及されている。


いうまでもなくそこでの主題は、従軍慰安婦問題ではないし、集団自決問題でもない。朝日新聞問題であり、岩波書店問題なのである。
従軍慰安婦がどういう存在であったか、とか、集団自決がどういう状況で発生したか、という事をめぐる議論にはあまり深入りしないのだ。


朝日・岩波文化人が揶揄されはじめたのは、10年以上も前の相当昔からのことであって、少なくとも現在左翼を標榜している人で、朝日や岩波の主張を鵜呑みにするような人は存在しないのではないか、と思う。
周りにいますか? そんなヒト。
そのさらにもっと前、新左翼の活動家の間では、そもそも朝日だろうが読売だろうが、すべてブル新で片付けられた。後衛から前線を嘆くだけ、そして自らのその安全な位置は疑わない、唾棄すべきものだった。


いまだに朝日・岩波があーだこうだ許せんどうにかしろ、とはどういう事態なんだろう。朝日岩波がダメだなんて、そんなものはとっくの昔に分かってることじゃなかったのか。
彼らがいったいどんな力を持ってるというのだ。朝日新聞ごときにアメリカの下院を動かすだけの力があるのかどうか、これは冷静に考えなくても分かる事だと思うのだが、頭に血が上りすぎると違うらしい。
いまだに彼らを朝日への攻撃へと向かわせる、この情熱とおびえは一体なんなのか。


社民党日本共産党の現状を見れば一目瞭然ではないか。はっきりと結果は出ているのだ。
ソ連のアフガン侵攻以降、ゴルビーの出現を決定打として、旧左翼はあらかた壊滅してしまっているではないか。
彼らにはもう何もないのに、いったい何を憂いているのか。
こういう言及のしかたは良くないのかもしれないが、この左翼陰謀論といっても良い、情熱とおびえは、ユダヤ陰謀論を思い起こさせる所すらある。


仮想敵が団結を容易にする、という事であれば、水に落ちた犬は叩けといわんばかりの、この手の弱いものイジメが過去にどのような群集心理を引き起こし、そしてどのような悲惨な事を引き起こしてきたか。
グローバリゼーションの抑制がすぐに働く現在、その「どのような悲惨な事」は直ちには起きないとは思うが、万一起きたとき、あるいは起りそうになったときのために、私は、いまだに「左翼の嘘」とか声高に言っている人たちの事をしっかりと記憶しておきたいと思う。