どこにもいない左翼、その2

引き続き池田信夫氏のブログより、池田氏のコメントを拾う。

だれも擁護なんかしてませんよ。日本軍が悪いことは事実だし、監督責任はあるでしょう。しかし兵士の性欲処理施設は、英米軍にもドイツ軍にも韓国軍にもありました。その中で格別に悪質ともいえない日本軍だけを問題にするのはダブルスタンダードだといっているのです。この点では「戦時性暴力」をすべて告発するフェミニストのほうが一貫している。

かりに軍の監督責任を問題にするなら、第二次大戦中の各国軍も軍用売春システムをもっていたし、戦後の米軍・韓国軍も文字どおり「慰安所」を設立しています。戦時売春を「性奴隷」と呼ぶなら、米軍も韓国軍もドイツ軍もフランス軍も英連邦軍も性奴隷を使っていたのです。日本軍の慰安婦だけが犯罪で自国には何も問題のないかのような顔でそれを非難するのは「オリエンタリズム」にすぎない。

 ※強調は引用者
 

どうも朝日新聞が悪い、というほかに、基本的な論調として、日本だけを問題にすることはけしからん、という所だろうか。
だとすれば、これは決して左翼とは関係のないことだ。当たり前のことだが。
日本の慰安婦だけを問題にし、他国を問題にしないのは、それはその他国の保守派が行うこと(あるいは行いがちなこと)であって、左翼とはぜんぜん関係のないことだ。
左翼ならばとうぜん、双方ともが問題である、となる。
だがしかし、ここが肝心のところなのだが、公平性のみを目的化し、双方とも問題ではない、とはしない事だ。他の左翼は知らないが、そんな事態になるくらいなら、次善としてまだ、我が方が悪いとしたほうがマシだと私は思う。
「我が方が悪い」はけっして「我が方だけが悪い」を意味しないのだが、なんといっても戦争に負けたのだ。当面、そのくらいは甘受すべきだろう。
相手が認めなければ自分たちも認めないとなれば、いつまでたっても争いなど終わらず、結局、アメリカのように軍事を握っている国には逆らえずに終わるだけだ。
最近の安倍首相のみっともなさがずっと繰り返され、この国のナショナリズムがいじけてひねくれた、中韓への差別をともなった醜いものになっていくだけだ。


何の根拠も無く、"いちど甘く見られたらとことん甘く見られる"と脳内妄想に走るヒトもいる。
国際政治の舞台は、まるでヤクザ映画のごとし。
自分たちが先に悪いと認めることは、かならずしも相手の国のやったことを認めることではない。
自分たち暴きがひととおり終わってしまえば、さてつぎの順番は他の国ということになる場合だってあるのではないか。そのくらいには、他の国の人たちの自浄を信頼したいと思う。


少なくとも、憎みあってヤラレルよりは、信頼してヤラレたい、という気持ちがある。
たしかに現実はそこまで追いついてはいないが、現実を追認していればいいというものでもない筈だ。