実名によるデメリットなんてあるんだろうか? (追記あり)

よく"実名だと電凸等のリスクが大きいのがデメリット"、と言われるけど、これは矛盾した言い方ではないか。
なぜなら、電凸等のリスクは匿名ネット社会が増幅させている部分が大きいと思われるからである。
今の匿名制のもとで実名にする事と、匿名規制後に実名にする事は違うだろう。前者は確かにデメリットだろう。そんな事は言われなくても最近の某私立大学の教員事件が示していて、誰もが分かってる事だ。
要するに、匿名規制後に実名にする事のデメリットを述べるのでなければ、実名・匿名論議においては、ほとんど意味が無い。


また実名制になると、政治的な話など正直な話が出来なくなる、言論の自由が制限される、とも言うけど、そもそもブログを使って発言することって言論の自由とそんなに大きく関係しているとは思えないのだが。
別に実名で発言することまで規制されたわけではないし、実名でネットが使い辛くなったからといって抑圧したのは政府ではなくて、漠然としたムラ社会なわけで権利侵害の話にはならない。ブログなどやめればいいだけの話だ。また、ネットが使えなければ他の媒体の機能が増してくるかもしれない。
早い話、普通に社会生活をするなら今だってネットを使ってない人は我々の周りに想像以上に沢山いる事は見て取れるし、じゃあそれが民主主義の危機なのか、ネットを使わない人は政治難民というか疎外された人々か、言論の自由の維持のために彼らにパソコンを安価で与え使い方をレクチャしなければならないか、というと、例えば後期高齢者医療の問題にしても、ネットが大きな役割を果たしたとは思えないような高齢の方々のNOが通じて政府の政策変更を促したりしている。(ようにも見える。)


強引にいうなら、実名によるデメリットなどそれほど無いのではないか。(もちろん全く無いとは言わない。我々の娯楽が奪われるというのをデメリットに挙げるのならば大きなデメリットだろう。)
そしてもう一つ。実名によるメリットなるものもそれほど大きなものではないだろう。結局完全実名にしてしまえば、インターネットが無かった頃にあるいみ戻るわけで、ネットはあくまで現実から変質していない地続きのものに過ぎなくなる。速報性やコミュニケーション性において遥かに利便性は高まるだろうが、それだけである。手紙や電話が部分的に電子メールに移行しても、現実の関係は殆ど変質せず、取引相手に対するメールは相変わらず仰々しく丁寧な言葉使いで書かれなければならないのだ。


匿名によるデメリットを言われて反射的に実名のデメリットを挙げたがる人がいるが、それがたとえ匿名規制後の実名デメリットだとしても、そんなものはインターネットが無い頃の昔から現実関係のなかに存在してきたものと大差無いのであり、そんな事を主張しても意味があまり無い。それは現実関係のなかで解決するしかなく、つまり昔から名誉毀損だの言論上の揉め事は沢山あったが、ネットにそんなもの解決できる力などがあるわけでもない。
結局匿名のデメリットを言われたら、デメリットではないと主張するか、メリットを対置するしかなく、デメリットではないと主張するのは恐らく無理だろうから、匿名擁護者は後者の道を歩むしかない。


※追記
なんかいつのまにか予想外にコメがついているので慌てて目立つ誤記を直しました。(斜体字のとこ)
ちなみに私は積極的実名論者ではなく、テキトーな理屈で匿名が擁護されてしまう事に非常に居心地の悪いものを感じているだけです。